《MUMEI》
クーとエアーのその後4
そこには


冷たくなった


白髪交じりの中年男性


その体を、温めるように


抱きしめる、美しい少女の姿があった。


「エアー…?」


ネオンがまず、声をかけた。


「寝てる、だけだよな?」


アルゴンは笑おうとしたが、できなかった。


事実を確認したくない二人は足を止めたが


キセノンは、ゆっくり、エアーに近付いた。


そして、無言で確認を始めた。


「ずっと、一緒に、…か」

「「キセノン?」」


「クー君の所へ、逝ってしまったわ」

「「…っ」」


エアーの体は、クーと同じように


冷たく、固くなっていた。


誰かの側に


人間の側にいれば


エアーは、美しいまま


少なくとも、百年は生きられた。


しかし、エアーは


クーだけを愛していた。


クーの口から出る空気しか、吸いたくないと思った。


クーの存在は


エアーにとって


栄養剤やクルクルの実より


水より


光より


生きていくのに、必要な、存在だったのだ。

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