《MUMEI》
変わらぬ日常
.


―――3年前のあの日、


長く付き合っていた恋人と別れてから、


わたしはずっと独りだった。



それで、構わないと思っていた。



けして給料は多くないけれど、ちゃんと働いて生活出来ているし、たまの休日には、お気に入りの図書館で一日中読書に興じたり、学生時代の友人とお茶してお喋りに夢中になったり…。

それなりに、ごく普通の毎日を送っていた。



小さなことでクヨクヨ悩んだり、涙したりするより、

平穏で平坦な日々を過ごせるなら、


独りの方がいい。



『寂しい』なんて、もう思わない。

恋愛なんて、煩わしい。



そんなわたしの前に、風のようにあなたが現れたことで、


こんなにも心を乱されることになるなんて、


ちっとも想像していなかった。



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