《MUMEI》
明日(仮)
「お、今宵ちゃん!!おっはよ!!」

「昨日はあんなに早かったのに何で今日はこんな時間なのよ?」

今宵が教室に入ると、紘と秋葉が近づいてくる。

「おはよう。今日はちょっと・・・・・ね」

今宵は無理矢理顔の筋肉を上げさせて笑みをつくった。

2人とも、昨日のことは触れてこない。

よかったぁ〜。

もう今朝のことだけでいっぱいいっぱいだもん。

「ほら、こっちおいでよ!!」

紘が今宵の背中を押して、いつも溜まって話している場所に連れて行った。

う、歩雪くんがこっち見てる。

今宵は窓にもたれかかっている歩雪と目線が交わった。

な、何かいわなきゃ、と口を開きかけた瞬間、教室のドアが開く。

「ほら〜席着けよ!!」

折角意気込んだのに!!

しょうがない、席着くか。

今宵達がそれぞれ自分の席に着こうとすると、紘が慌てて声をかけた。

「あ、忘れてた!!!後で話があるから、楽しみにしててよ♪」

なんだろ、話って?

今宵が首を捻ると、歩雪と秋葉も同じことをしていた。

まぁ、いっか。




「で、何なのよコト。話って」

昼休み、4人が屋上に集まった時、秋葉が紘に問いかけた。

秋葉の言葉に待ってましたと言わんばかりに、紘が答える。

「良くぞ聞いてくれました!!実は・・・・・・ジャーン!!!」

「は?何よそれ」

「何、それ?

紘が制服のポケットから取り出した4枚の券を秋葉と今宵がまじまじと見つめる。

遊園地のチケット?

「これは遊園地のご招待券です!!昨日新聞屋のオヤジがくれたんだ!!」

「ふーん。これ明日までね、期限」

「そう!!だから明日皆で行こーぜ!!」

紘が3人にチケットを配る。

遊園地・・・・・・。

「行きたいっ!!!」

「さっすが今宵ちゃん!!」

今宵が勢いよく手を挙げると、紘がニカッと笑みを浮かべる。

遊園地なんか久しぶりだぁ〜!!!

「で?秋葉ちゃんと歩雪は!?まぁ2人が来なかったら今宵ちゃんとデートだけど♪」

「行く。琴吹とこーを一緒にさせると危ない」

「歩雪くんが行くならあたしも行くわよ」

「んじゃあ決まり!!じゃあ、明日10時に駅前の大時計下に集合な!!」

そうか。

よく考えたら歩雪くんと遊園地なんてそれどころじゃないよね・・・・・・。

何であそこで張り切って手を挙げたんだ!!

今宵は勝手に話が進んでいる3人を見て、今更後悔の念が押し寄せた。

思わず頭を抱えたくなる。

もうここで断れない。

なるようになれ、だ!!

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