《MUMEI》 「肺癌です。」 予想に反して、 あまりのストレートさに一瞬戸惑う。 「癌?」 おいおい、 いくらなんでもオーソドックスすぎやしないか? 苦笑し、看護婦さんたちを見やる。 「冗談だろ?」 「いいえ、冗談ではありません。 事実です。」 誰かから思い切り脳天を殴られたように思えた。 ぐわんぐわんとした余韻が、 頭に響く。 「なんで……? なんでよりによって癌なんだ?」 「桐海さんはかなりのヘビースモーカーだと伺いました。」 「若い頃からのためか、今になって影響が出始めたようです。」 確かに。 親父がベランダでよく煙草を吸っていた光景が目に浮かぶ。 「それは…治るのか?」 前へ |次へ |
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