《MUMEI》
長い長い一日16
「先輩、俺はね。嫌いな人間なら、女でも多分攻撃しますよ」

「え?」

「ただし、寸止めで。でも、先輩は、強いから」


か弱い女の子じゃないから


「その可愛い顔と体に、傷を残さないように攻撃しなくちゃいけないから」


寸止めなんかできそうもないから


「だから、今から投げますから、受け身、とって下さいね」

「へ、…きゃ!」


宣言通り、財前先輩を投げた


一応、形は背負い投げに近いけど、実戦向きだから、ちょっと違う


だから、宣言しても、通常の背負い投げ対応しかできない財前先輩は、避けられず


小さな体は宙を舞い


ダンッ!


地面に叩きつけられた


「…先輩?」


受け身はとれてるみたいだけど


「財前先輩!?」


うわ、気絶してる!


ほ、保健室!


「保健室なら、一階職員室横だ」

「バ会長!」


諸悪の根源!


「強いね、誠」

「誠、また、たらし」

「一ノ宮先輩、神澤」


何か途中で視線感じてまさかとは思ったけどさ


とにかく、今は、保健室だ!


「保健室行って来るから!バ会長も一緒に来い!」


気絶した財前先輩を抱えて走った

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