《MUMEI》

その言葉に、看護婦さんたちはぐっと詰まる。


「現段階では最善の処置を……」


「治るのかって聞いてんだ。」


「ですが……。」


「はっきり言ってくれ。

治るのは難しいんだろ?」


「……はい。」


ああ…やっぱり。


痩せこけた親父の顔を思い出して、
深く溜め息をついた。


「ありがとう。

用はそれだけだから。」


軽い会釈をして、
後ろを向く。


立ち去る俺に掛ける言葉が無いのか、
または同情して何も言えないのか、
帰りは始終静かだった。


……かのように思えた。


「蓮翔くーん!

さっきのことなんだけど〜!」


こいつら……空気読めねぇ!

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