《MUMEI》

『……よくもまあここまで揃ったな。』

千秋様の声が放送される。体育館の角にある使われていない放送室が千秋様の基地だったのである。


「ずるいよー、下りてきなよ兄さん!」


「正々堂々拳で闘いなさい!」

皆、千秋様の方へ向かってゆく。


「それは、罠だ!」

ぼくは隠れていて何も出来ないのが悔しい。
志雄君が千守さんに計画を教えたのを見逃さない。


不意をついて天井から降り注ぐ滑る液体も千守さんの周りはしっかりと人で守り固められてしまってた。



「はなちゃんごめんねー。」

千守さんは銃口を向けたが、千花さんは体を丸め腹部を守る。

「執念だね、まあ……あとででいいか。」

千守さんが千秋様に向き直る。


「この俺を裏切ったという気概だけは認めてやろうか……。」

千秋様は志雄君を一瞥した。


「兄さんったら勝ち目無いよー?どうするー?」

千守さんが千秋様へと近付いて行く。

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