《MUMEI》
妖怪屋本舗
高校生になって初めての夏休み

僕は、アルバイトを探していた



毎日、フリーペーパーや折り込みチラシを読みあさる日々…



別に、親から貰う小遣いに不満があるわけじゃないんだ…


善く言えば、人生勉強
悪く言えば、興味本位



面白そうな職種であれば多少、時給が安くてもよかった

できれば、うんと
胡散臭い方がいい…


夏休み明けに、話のネタになるような…


あまり言いたくないが
僕は、まだ高校生活に馴染めていない


なにかきっかけを作って
溶け込みたいんだ


胡散臭いバイトをして
面白い体験をすれば
ボキャブラリーの少ない僕にでも、話の種に事欠かないと思ったのだ



友達と呼べる唯一の人間
『貴則』が面白いバイトを始めて、クラスの人気者にのし上がる様を見たからだ…


だが、探しても探してもどれもこれもありきたりでパッとしない




そんな都合のいいバイトなんてないよなと諦めかけていた頃…







あった


面白そうで
とてつもなく胡散臭い
バイト募集…






『妖怪屋本舗』


名前だけでも、かなりの胡散臭さだ


とりあえず冷やかし半分で電話を掛けてみた

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