《MUMEI》
昼休み4
「お待たせ」


トイレを出ると、神澤と皐月が


微妙な距離を空けて並んで立っていた


皐月、神澤の事まだ恐いんだな


「お、遅かったね」


皐月は俺を見て、あからさまに、ホッとした


「遅い」


神澤は、すねていた


やっぱり、犬っぽいな


「悪かった。行こうぜ。次、体育だっけ?」

「ん」

「確か、体力測定だって言ってたよ」

「そうなんだ」


俺が加わると、皐月、普通に喋るんだな


俺を真ん中にして、歩いてるせいもあるだろーけど


「それで、ジャージのまま身体測定もするって」

「あ、だから最後が身体測定なんだ」


時間割り、変だと思ったんだ


「うん」

「誠。大丈夫?」

「…ん?」


それまで無言だった神澤が、俺の顔を覗き込んだ


「何が?」

「身体測定」

「何で?」

「…何となく」

「何だ、それ。大丈夫だよ」


どーも、神澤は


何となく、俺が女だと気付いてるような


…気が、する


けど、俺の考え過ぎかもしれないから


あえて、俺からは正体を明かさない


それに、身体測定は、本当に大丈夫だし

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