貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
夕飯(3)
「相変わらず面白味のない部屋だな…。」
オレは部屋を見渡しそう呟いた。ここはオレの部屋の隣にある201号室、つまりは林檎の部屋だ。仮にも年頃の女の部屋なんだからフリフリやらショッキングピンキーやらがあってもいいと思うのだが、この部屋はそんな俗物を許さないようだ。家具は黒で統一され必要最低限のものしかない。本棚も小難しい学術書ばかりだし、唯一の花のパソコンもレポート用だろう。
「ん?そうか?」
お茶を淹れながら答える林檎。自覚がないようだ…
「ポスターの一枚でも貼ったらどうだ?」
「面倒だ、いらん。それより夕飯のことだが食材はあるのか?」
「無い!」
オレはキッパリと言い放つ。
「ほう?ならお前の腹のあたりにある不自然な長方形はなんだ?」
林檎がオレのシャツをめくり、パックに入った肉を取り出す。
「あるならあると言え。まったく…」
(くそっ、朝飯にしようと思ったのに…)
林檎はオレから肉を奪い料理をし始めた。その間、オレはおとなしく待っていることにする。

…1分後…
(ヒマだ!!!)
どうやらおとなしく待っているのはオレには無理らしい。
「林檎〜、紙とペン借りていいか〜?」
台所にいる林檎に聞く。
「? まあいいが…」
早速、オレは暇つぶしを始めた。
(カキカキカキっと)

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