《MUMEI》
これと似たような能力が人間にも備わっている。それは、不可視の悪意を感じる能力だ。
それを感じた瞬間、景色がスローモーションになる。アドレナリンの作用だ。
前方。さっきの騒動でガラスが割れた事務所の中。
――男が銃をこちらに向けていた。
「っ!」
オレは身体をリンとタカ、二人を庇う位置に滑らす。まあ、これでオレは十中八九死ぬだろう。だって、あれはオレのコレと違って、実銃なのだろうから。
がぁんっ!がぁんっ!がぁんっ!
続けて三発。
その三発はひとつも外れることなく銃弾としての役割を果たした。
一発は頭を貫き、残りの二発は心臓付近に着弾した。
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