《MUMEI》

「この白鳥町は、ちょいと特殊な環境でな。妖怪や霊が集まり易い…」


「…えぇッ!?」


「この町に住む大半の人間が、その事実をまったく知らぬ。まぁ、それを知られぬようにするのも『妖怪屋』の仕事じゃ」


「…という事は、この町には、おばけが沢山いるっていう事ですか?」


「その通り」


「…そんな馬鹿な」


「ククッ…それほどの霊感を有しながら、まったく気付かぬとは…。文字通り、宝の持ち腐れじゃなぁ…」



宝の持ち腐れ…


初めて言われた


完全な無能人間と思っていた僕に腐るような宝があったのか…


少し嬉しい


あっ…

腐ってたら
ないのと同じか…

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