《MUMEI》

「お前は参加するな……てか、皆酔いすぎ。」

迷惑そうな木下君だが、実はべろべろになってないのは彼だけだ。


「アタシ木下君のファーストキス頂きます〜」

「やだー私のー」

「わたしだよね?ね?」

「俺だろ!」

女子三人と内館の猛攻に逃げ惑っていたので、自分が壁になった。
木下君は安堵して、耳元で

『ありがとな』

と一言くれたので、お返しにキスした。
……自分も顔に出てないだけで酔っ払いだった。
キスした後は木下君に灰皿で殴られて気付けば包帯を頭に巻いて家に居た……朧げに木下君の顔が浮かんでは胸が苦しくなった。

今思い出せばこれは二日酔いじゃなくて恋だったのだろう。

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