《MUMEI》

「悪い…」



「気にすんな。
まだ時間はあるって。」



市立ボール。


キーパーからボールを受け取るセンター。


そして中央ラインで待つポストへ。



「ピッ!!」



審判の笛が鳴る。



「センターオッケーぃ!!」



「ポスト入った!!」



赤高のディフェンスからは自然と声が出る。



後半、


赤高のディフェンス陣形は前半とほとんど変わらず、


2・3枚目を守る4人が中を固めている。


変わっているのは1枚目。



それまでしつこく牽制をかけていた日高と関谷はサイドマンツーに切り替えていた。



(パスが出しづらいな…)



こうなると困るのはサイド以上に45である。


個人差はあるが、


多くの45はサイドとセンター、


2つのポジションからパスを貰うことで攻撃のリズムを取るケースが多い。


その一方(この場合はサイド)が潰されていることで攻撃のリズムが掴みにくくなる。


パステンポの微妙なずれは直接的に攻撃のリズムを狂わせ、


結果、


攻める機会を軽減させる。



(くそ…うぜぇ…)



が、


赤高の狙いは別にあり、


45のリズムを狂わせたのはあくまでも結果論でしかなかった。

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