《MUMEI》
飛行機
(ザァァァ――。)
シャワーの音がする。青年がシャワーを浴びているのだ。
脱衣所にはラジオが置かれている。
そのラジオから、陽気なHip Hopが流れていた。
青年が風呂からでてラジオを止め、タオル一枚のままリビングでテレビを付けた。

「はいっそれでは朝8時。今日のニュースです。今や話題騒然となっている、Z0ウィルスの感染者は世界の人口の約10分の2となってしまいました。この事態を重く受け止めた国際連盟はもはや感染者を人間ではないと宣言し、感染が広がらないよう、「サルカス(感染者)掃討計画」を実行すると全世界各国での全放送メディアで発表がありま…。」
(プチン。)青年がテレビを消した。
「まじかょ…。」青年はそう言うとすぐさま着替えあらかじめ用意してあった、大きな荷物を抱え部屋をでた。彼の容姿からすると学生みたいだが、学校へいくわけでもないらしい。彼は家でてると首を振りタクシーがきたかと思うと手をあげ乗った。
「お客さんどちらまで??」いかついオヤジが首をひねってこっちをみた。
「花田空港まで。」
「あぃよ。」オヤジはおかしそうに眉を吊り上げた後、また前をみてハンドルを握った。「お客さん幾つ??」オヤジが尋ねる。
「18です。」青年は迷惑そうに答えた。
「へぇ〜、卒業前の一人旅って訳かい??」
「はぁ…。」青年は(そんなヤワなもんじゃねぇよ。)と言ってやりたい気持ちを押さえて曖昧な返事を返した。
「花田からどこに行くんだ??」
「一応、沖縄へ。」
「そうかい。どこの学校??」
そんな感じの質問に幾つか答えてるうちに花田空港に着いた。
「さぁ、着いた着いた。」また首をひねってこっちをみた。
「ども。」お代を払ってタクシーを降りた。「じゃあな。楽しめよ。」オヤジが窓を開けて手を振ってきた。
「はい。ありがとうございました。」青年は特にありがたいとも思ってないが一礼した。「はっ、何が頑張れだ。」車が去った後青年は悪態ついた。
空港からはスムーズに飛行機まで乗れた。
時間もちょうどいい。そして、多少の揺れを感じた後飛び立った。「飛行機の飛ぶときはいまだになれないなぁ。」そんな、一人言を言いながら外をみて。それからはゆっくり時間がたつ。時間がたつに連れて青年はだんだんと目がぼやけてきて、目を閉じた。

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