《MUMEI》

マルクスからの報告
を陛下は辛そうに聞
いていた。


『そう…か、幼児退
行か…』


『はい、狂気に飲み
込まれなかっただけ
幸いかと…。』

『いつ、また狂気に
飲まれるか、解らぬ
な…』

『いえ、多分…です
が、ロイズが、あの
者が傍に居れば、大
丈夫かと思われます


『ロイズ?あの奴隷
上がりの?』

『はい、あの者は…
レイノルド殿下を…
大切に想っている様
子、また殿下も、お
心を開いているご様
子が見られます。』


マルクスの言葉に陛
下は、そうか…と小
さく呟いた。


『あの…陛下。陛下
は何故、殿下のお傍
についてあげないの
ですか?とても心配
しているご様子は、
有り有りと見受けら
れますのに…』


陛下はマルクスを見
て力無く笑った。

『怖いのだよ、マル
クス。私は、レイノ
ルドに会うのが…』

…アレが私をどう思
っているのか?王妃
を幽閉していた私を
…。

…そして、アレに会
えば、嫌でも王妃の
事を思い出す。その
事が私は怖い…。


『陛下…』


『とんだ臆病者なの
だよ、私は。傷付い
た息子を前にして、
どう接したら良いか
解らぬ、馬鹿者なの
だよ…マルクス。』

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