《MUMEI》

「…怪我はないか?」
男はオレたちに尋ねた。オレたち三人は身体をぺたぺたと触って安否を確かめる。

「健康体です。」
とタカ。

「私も。」
リン

「おい!てめぇ!Tシャツが破れただろうが!告訴やぞ!」
どうも弾がかすったらしい。オレのファッショナブルTシャツ(税込¥500)の肩部分が裂けていた。

「それはキミが動いたからだろう。まさか、あのタイミングで動けるとは思わなかった。危うく、助けようとして射殺するところだったぞ。」
…そう。この中年のオッサンはオレたちを狙っていたのではなかった。その後ろにいたゾンビを撃ったのだ。そのゾンビは弾丸を三発喰らって絶命した。

「ありがとうございますっ!ほらっ!アンタもバカなこと言ってないで感謝しなさいよっ。」
リンが感謝を告げる。…なんか猫かぶってる…。その謙虚な態度を二、三割、オレへの態度に分け与えてもらえないだろうか。

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