《MUMEI》
特攻
「グギャアアアアア!!」
苦しそうに呻くロックリザード。炸裂筒は・・炸裂しない。
振り落とされたロシュの側に駆け寄る狩月。
「爆発しねえじゃないかよ!!」
「紐・・抜きました?」
「あ・・・」
どうやら紐を引くのを忘れていたらしい。
「そう言うのは最初に言え!!」
「言いましたよ!!」
声で位置を把握したのだろうか、ロックリザードが尻尾を唸らせて攻撃してきた。
「危ねぇ!!」
ロシュが狩月を突き飛ばす。
ビュン!
十分な速度を持って叩きつけられた尻尾はロシュを直撃し、狩月にも当たる。
二人揃って壁に叩き付けられ、地面に転がる。
ロックリザードは痛みに暴れ回っているのでそのうち踏み潰されるのがオチだ。
「ぐ・・・ロシュさん?大丈夫ですか?」
痛みをこらえ何とか立ち上がる狩月。ロシュは地面に倒れたまま。突き飛ばされたお陰で当たった部位が良かったのか、何とか動くことはできる。
「ロシュさんを抱えて・・逃げれるかな。」
想像し、速攻却下。自分の左腕は砕けているようで感覚が無い。こんな状態では、抱えることもできないだろう。
「・・・・炸裂筒、そうだ。瞬動で近づいて・・紐を引っこ抜けば。」
無論危険すぎる賭けである。狩月も鎧は着ているが、ロシュのように対物理防御のスキルは覚えていないため、一撃で行動不能になるだろう。
そう考えれば、ロシュを置いて逃げるのが最良だと判断できる。
「・・・逃げるなら最初に逃げてるよなぁ〜」
やけくそ気味に呟き、突撃する。
ヒュン!
適当に振るわれた尻尾の生む衝撃波に、吹き飛ばされ、暴れ回ったお陰で落ちてくる岩に当たったり・・どんどん傷が増えていくが何とか瞬動で移動できる距離まで近づく。
瞬動を使うのにどうしてもタメが必要なので一回で決めないと即死。
「我ながら・・無茶してるよな・・」
最後の呟きを残し、瞬動を発動させる。

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