《MUMEI》
神澤と下校
「…神澤のせいだぞ」


待っててくれたのは嬉しいけど


間に合わなかったのは完璧に神澤のせいだ


「違う。誠が可愛いせい」

「真顔でそういう冗談言うな」


可愛いとか、無いだろ


「照れてる。可愛い」

「だからっ… っ、もういい。帰るぞ」


こーいうやり取り、苦手なんだよ


「ん」

「何だ、この手は」


何したいかわかったけど、あえてとぼけてみた


「手、繋ぐ」

「繋がないから」


捨てられた犬みたいな顔しても


しても





「誰か来たら、手、離すからな」

「ん」


それから、校門まで


俺と神澤は、ずっと手を繋いだままだった


「神澤、お前…わざと人通り無い道を、しかも、遠回りしただろ」

「当然」


眩しい笑顔で神澤は答えた


笑うと年相応だなー


あんまり嬉しそうだから、それ以上、何も言えずにいると


「そろそろ帰りますよ、神澤君」


ため息と共に、校門にとまっていた真っ赤なリムジンから


黒崎先生が出てきた

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫