《MUMEI》 神澤と下校「…神澤のせいだぞ」 待っててくれたのは嬉しいけど 間に合わなかったのは完璧に神澤のせいだ 「違う。誠が可愛いせい」 「真顔でそういう冗談言うな」 可愛いとか、無いだろ 「照れてる。可愛い」 「だからっ… っ、もういい。帰るぞ」 こーいうやり取り、苦手なんだよ 「ん」 「何だ、この手は」 何したいかわかったけど、あえてとぼけてみた 「手、繋ぐ」 「繋がないから」 捨てられた犬みたいな顔しても しても … 「誰か来たら、手、離すからな」 「ん」 それから、校門まで 俺と神澤は、ずっと手を繋いだままだった 「神澤、お前…わざと人通り無い道を、しかも、遠回りしただろ」 「当然」 眩しい笑顔で神澤は答えた 笑うと年相応だなー あんまり嬉しそうだから、それ以上、何も言えずにいると 「そろそろ帰りますよ、神澤君」 ため息と共に、校門にとまっていた真っ赤なリムジンから 黒崎先生が出てきた 前へ |次へ |
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