《MUMEI》

「ん?

用件って?」


「ああ、今日この後バッティングセンター行くだろ?

それで山村と神道も来たいって言ってんだよ。

別に構わねぇだろ?」


「ああ、そうだったな!

別にいいぜ。

どうせ暇なんだろ。」


豪田の笑い声が電話越しに聞こえる。


「まあそうだろうな。

本当は今日、滝澤颯馬の試合を見に行く予定だったんだし。」


俺は駆け足で廊下を突っ切り、
突き当たりのエレベーターのスイッチを押した。


「ああ、ごめん。

別に俺に断りいれなくても、
先に行ってりゃ良かったのに。」


エレベーターに乗り込み、
一階のボタンを押す。


そこでようやく一息ついた。


「んーそうしようかと思ったんだけどな、
何て言うの?

蓮翔の身の危険?

みたいなのを感じてな。」


苦笑いを浮かべる豪田の顔が目に浮かんだ。


「やっぱお前、神!」

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