《MUMEI》
本音
〜・*・〜・*・〜〜・*・〜・*・〜〜・*・〜・*・〜


日が傾きかけた頃、
俺は陸上競技場に着いた。


駐輪場で自転車を止めて、
見慣れた路地を歩く。


そして目の前に差し迫った、
競技場の扉を押して入った。


扉は少しくたびれた音を立てながら、
ゆっくりと開く。


徐々に開かれるにつれ、
声援の飛び交うトラックが見えた。


どうやら今は、
リレー種目があっているみたいだ。


テイクオーバーゾーン付近に立つ、
審判達をみてそう思った。


俺はトラックを見つつ、
右手の方へ進んで行った。


目指すはその先にある白のテント。


“疾風陸上クラブ”


テントの屋根にはそう記されている。


俺が所属しているところだ。


テントに近付くにつれ、

人影が誰だか区別出来るようになった頃。


向こう側もこちらに気付いたようで、
何人か走って来た。

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