《MUMEI》
初・学食5
榊原先輩は、神澤と同じ位、基本的に口数が少ない


そして、この中で一番真面目で


冗談や、お世辞を言うタイプでもない


その、榊原先輩が、言った


俺は、美形、…だと


けどそれって、男として、だよな


本当の


女としての俺に対してだったら


きっと、違うんだろうな


そう思うと


どうリアクションしていいのか、迷う


そして、結局


「ありがとう、ございます」


男の高橋誠として


笑顔で、お礼を言った


俺が間をとった事に対して、大体は、自分が美形だと認めるのに時間がかかったのだと思っていた


それは、間違ってはいない


けど


真相はちょっと違うから


複雑、だった


日替わりランチはうまかったけど


あんまり味がわからなかった


「…ふう」


コーヒーと一緒に、ため息がもれた


「あの、これ。隣からです」


美形ウエイターが、遠慮がちに、俺にケーキを差し出した


隣って…


神澤と皐月を見ると


二人は、首を横に振った


「あちらの、お客様からです」


ウエイターが指差したのは、風紀委員会専用席だった

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫