《MUMEI》

「だーかーら、プリンが食べたくて仕方なくって、うら若い乙女は夜の町に漕ぎ出したの。」


そう言ってさも怖かったと言うように自分を抱き締めた。


―こいつ、アホか?


こけそうになりながらも綾乃から目は離さず瀧は考えようとした、その時ー


「おいおい、こんだけしかねーのかよー?」


「すみません、もう、ホントに持ってないんですぅ。」


いかにもヤンキーな声と、気弱そうな声が近くでした。

二人は顔を見合せどちらともなく声の方を覗く。


そこでは紛れもなくカツアゲが行われていた。

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