《MUMEI》
顕現
尻餅をつき、恐怖に顔をひきつらせるヤンキー君の前には、先程とは別人のような中野くん。

優越感に満ち、狂喜する顔は常人とは思い難い。


「あれ〜、中野くんてあんな子だったっけ?もっとおとなしくて―」


「正気じゃねえに決まってんだろーが!!」


瀧の言葉が終わらない内に、それまで曖昧だった形が光と共に出現した。


美しい女性だが下半身は翡翠の魚鱗に覆われ、腕には水掻きと羽が着いている。緑碧の髪からは魚の尾ひれのような耳が見える。


「マーメイド…じゃねぇな、カテゴリーBセイレーンか。」


素早く相手を把握し、この状況での最善策を考える。

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