《MUMEI》 「……………………」 「弾けるんだよ。 肉体が――じゃなくて精神が。 その瞬間、抑え付けていた自制や理性、人格なんて名前の蓋が無くなった霊力は、純粋な破壊力の塊になって周囲のもろもろ全部を捲き込んで弾け飛んじまう。 そこで、おしまい」 「暴走した人はどうなるんですか?」 「死ぬよ。大抵は大きすぎる霊力に押し潰されて。もしくは植物人間か。奇跡的に意識を保っていたとしても身体に障害が残るか一生寝たきり。無事、社会復帰出来た事例は戦後からの資料には一件の報告も無いんじゃないかな?」 気分が重い。上着はすでに着終えて、後は脱衣かごの底に沈んだ鞄を取り上げれば帰り支度は完了なんだけど、とてもじゃないがこのまま帰る気には到底なれない。 「いやぁ、すまなかったねぇ、年寄りの無駄話に長々と付き合わせてしまって。それじゃあ、出口まで案内しよう」 「って、そんな話をしておいて、さぁ帰れだなんて!?あなたは鬼ですかっ!!」 「え?しかし、急用があるんだろう?それなのに引き留めたりなんてしたら悪いじゃないか」 「人に恐怖を植え付けるような長話に付き合わせておいて、よくそんな事が言えますね!そんな事より、霊力を暴発させない為にはどうしたらいいんですかっ!!」 「人と接触しなければ、暴発のリスクはグッと下がると思うけども……」 「この文明社会のドコにそんな場所があるって言うんです!」 「いくらでもあるじゃないか。無人島に、樹海に、山奥に……」 前へ |次へ |
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