《MUMEI》 しばらく進み続けると、急にゴローさんの靴音がピタリと止まった その先には、錆び付いた鉄の扉… 『ギギィッ…』 不快な音を響かせ開いた扉にゴローさんは、なんの躊躇もなく中へと入ってゆく… 僕も遅れまいと慌てて飛び込んだ… そして 見てしまった… 鎖にがんじがらめにされた『もの』… 姿形は人間に近いものの筋肉の羅列が人間のそれとは、まったく違う… そして、この暗がりでも一瞬で『奇怪』と判別できる程の『顔』… 耳まで裂けた口… 獣のような牙… 額から伸びた角… 髪の毛も一本一本が藁のように太い 「…ヨイチ、よく見ておけ。これが、『鬼』と呼ばれる妖じゃ」 「お、鬼ッ!?」 前へ |次へ |
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