《MUMEI》

相手を鼻で笑い飛ばし、いざ戦闘体勢に入ろうとしたその時―、


「え〜、コレ何?不良くんいなくなっちゃうし、景色校内なのに全然誰もいないし!」


後ろから聞こえた声に愕然とし、ゆっくり振り返る―

そこには、
不良とともに、
現実に置いてきた筈の、
水樹綾乃が居た。


その目はこの非現実を目の前に、キラキラと輝いていた。


瀧が絶望にも似た脱力感に襲われたのは言うまでもないだろう。


「お前…何でいんだよ!」


「そんなのあたしが分かるわけないじゃーん。」


心外だ、という様子で唇を尖らせる綾乃に、注意が向かったその時、


『今ダ!!死ね!』


セイレーンが口から水球をいくつか発射した。

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