《MUMEI》

「!! くそ!」


攻撃を察知し、綾乃を抱え瀧は跳躍して距離を取った。


『オノレ…早く死ねバ良いモノヲ…!』


次にセイレーンは両手を胸の前に上げ、渦巻く水流を打ち出してきた。


「面倒くせぇヤツだな!!」


器用に空中で体勢を変え、水流を回避して瀧は着地する。


「何、あんた超運動神経良くない!?」


「お前はちっと黙ってろ!」

むぅ、と唇を尖らせる綾乃に、


「巻き込んで悪かったな、ちゃんと帰してやるからそこで大人しくしてろ。」


そう言って少し離れた場所に綾乃を下ろし、改めてセイレーンと対峙した。


「さて、お荷物下ろしたことだし、こっからは真面目に行かせて貰うぜ。」


そうして不敵に笑った瀧の足元から陽炎が起こり始めた。

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