《MUMEI》

陽炎が揺らめき、先程セイレーンが出現した時と同じ、否―


―キイィィィン!!!―


より激しい音が空間に響き渡る。


「痛いっ、ねぇ耳が痛いよぉ!」

『コレは…!!』


耳の痛みを訴える中野くん等意に介さずセイレーンは瀧を凝視していた。


「俺の手を煩わしたお前らには特別に、見せてやるよ…」


その場に立つ瀧の回りに黄金の羽が舞う―


「行くぜ、ガルーダ。」


瀧が告げた次の瞬間、太陽が落ちたかのような黄金の光が閃いた。


瀧以外の全員が耐えかね、目を塞ぐ。


顕れたSCを見て綾乃は一つの言葉しか紡げなかった。

「…綺麗…」


そこには全身すべてが黄金色の優美な不死鳥が浮遊していた。焔を纏っているためか全身から陽炎が揺らめいている。
優美ながらもその瞳は強く鋭い。

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