《MUMEI》

「おはよう、木下君。」


「……おはよ」

包帯に目がいったらしいが特にコメントも無く、けろりとしていた。

妙に意識していた自分が阿呆らしい。


「オハヨーっす!」

内館は馬鹿みたいに五月蝿いし、いつもと変わらなかった。

変わってしまったのは自分だけなのか……。


「あ、そうだ。来週もサークルの飲み会あるみたいだけど、どうする?」

内館は便利な連絡ツールだ。


「俺は……」


「行く、木下君の分はこっちで持つから、参加ね?」

無理矢理に参加させてしまうのは、キスの感覚を思い出したいからだ。
木下君の唇を忘れるのが、怖い。

抑えられなくなると今、すぐにでもしたくなるだろうから。


あれ?木下君は面白い同級生で、出来れば向こうが良ければ友達だと思いたいし、友達より深い関係にも近付きたい、欲求が合えばもっともっとキス以上のことも……って、ベタ惚れじゃないか。

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