《MUMEI》

夢視は、空中に浮か
ぶ花の蕾を呆然とし
て眺めていた。

…もしかして、コレ
が白の花なのか?

白を飲み込んだ弦が
形造った巨大な花の
蕾、この中に白がい
るのか?

『…白?…白?』

蕾に向かい声をかけ
る。

ーーフォン・フォン・ーー

その声に反応する様
に柔らかく優しい白
い光が蕾を包む。

ーートクン・トクン・ーー

光と共に、規則正し
い鼓動が響く。

間違いない、白がこ
の中で生きている。
夢視は、安堵した。


『ね、白。』

夢視は蕾に向かい話
しかける。

『白が私の所へ来る
前は、私は死ぬ事し
か考えてなかったん
だ。辛く悲しい日々
にうんざりしていた
。私の心は死んでい
たんだと思う。』

ーートクン・トクン・ーー

『でも、今は違う。
白、君に癒され、君
の優しい気持ちに触
れ、私は生きたいと
思える様になった』

ーートクン・トクン・ーー

『君が私を変えてく
れたんだよ、白。』

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