《MUMEI》

一体何の拍手なのか、岡本が首をかしげて見せれば
「雪、テメェ今回はえらく長々喋くったな」
「……私だって喋る時はこれ位喋ります」
「そうか?雪がこんなに喋ったの聞いたの五年ぶり位だと思うが」
「僕も!それ位前だったと思う!」
次々と現れる男共が各々好き勝手な事をいう
訳が分からない盛り上がりを前に完璧蚊帳の外の岡本
どうすればいいのか、溜息をついた処で漸く
男の中の一人が、岡本へと向いて直った
「ごめんね、タマちゃん。驚かしちゃって」
大丈夫、と声を掛けながら井上へと手を差し出してくる
握手を求められているのかと手を取ってみれば
取った途端にその手が引かれていた
「わっ……!」
「タマちゃんゲット。僕のだからね」
唐突に抱きあげられたかと思えば楽しげに周り始め
岡本を抱えたままはしゃぐ事をする相手
周りの男共は呆れたように笑いながら、その様を唯眺めるばかりだ
「ちょっと、止めて〜!」
回り続けるその遠心力に耐えきれなくなてしまった岡本だがどうする事も出来ず、されるがままになていた岡本を見かねたのか
「花、それ位にしとけ」
未だ寝巻姿の男が、回る岡本を奪ってやりながら止める様促す
「つまんない。トラは嬉しくないの?こんな可愛いメイドさんなのに」
岡本との戯れを邪魔された事に不手腐った様なその男
文句を言い始めてしまったのをもう一方の男は完璧無視で、岡本へと向いて直った
「……一応、自己紹介しといてやる。俺は岡部 高虎。ここの中等部で国語全般教えてる」
「え?」
突然の自己紹介
岡部のそれを合図に、そこに居る全員が自己紹介を始める
「次、僕ね。僕、小森 華。担当は家庭科。宜しくね」
人当たりのよさそうな小森
「俺は平田 大吾。担当は理科全般。宜しく頼むぜ。タマ公」
微妙に胡散臭さ漂う平田。そして
「私は桜岡 雪路と申します。担当は地理、歴史、公民です。宜しくお願いしますね、環さん」
和装美人でパッと見女性かと見間違えてしまいそうな桜岡
見た目美形が揃いに揃い
圧倒されてしまった岡本はその場に座り込んでしまっていた
「……私、もしかしてとんでもない処に来ちゃった!?」
今更に後悔してしまうが既に後の祭り
この日から、岡本のメイドライフの幕が切って落とされたのだった……

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