《MUMEI》

「無駄だぜ、神話じゃこいつは太陽の鳥、たかがセイレーンが叶う相手じゃねーんだよ。」


その言葉と同時に焔の矢はセイレーンを貫き、焔に触れた彼女はその中で塵となった。


「ご苦労さん、もういーぜ。」


その言葉を聞くと、瀧に舞い降りるようにして、ガルーダは消えた。


「おい、もういーぜ。」


瀧に声をかけられ、綾乃は茂みから出た。


「ねぇ、彼女死んじゃったの?」


「仕方ねんだよ、話し合い通じないんだからよ。」


「ふーん…」


瀧の返答に気のない返事をしながら放心状態の中野くんを見る。
彼は泣いていた。


「中野くん、大丈夫?あたしC組の…」


「おいっ、お前迂闊に近づくな!!」


駆け寄る綾乃を止めようとする瀧の手が届くより先に、彼は動いた、


その手に隠し持っていたナイフを片手に自分に駆け寄る綾乃に向かって―

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