《MUMEI》

「滝澤先輩!

いつ来たんですか!?

もうリレー始まってますよ?」


一気に捲し立てる後輩軍たち。


俺は綺麗に無視した。


いつ来ようが俺の勝手だろうが。


そんな意を込めて相手を睨む。


後輩軍たちは気付いたのか、
肩をビクッと震わせると恐る恐る口を開いた。


「岡部先輩と木村先輩、心配してましたよ?」


だからどうした。


俺はこれにも綺麗に無視すると、
テントに向かって再び歩き出した。


ところが後輩軍を抜き去った時、
予想もせぬ声がきこえた。


「威張ってんじゃねーよ。」


「!?」


驚いて振り返ると、
息を切らした木村が立っていた。


先程走っていたからだろうか。


肩で息をし、汗は止めど無く流れている。


後方には、
岡部の走って来る姿が見えた。


「何が言いたいんだ。」


さすがに今回のは俺のプライドが許さない。


怒りを込めて、
木村を睨みつけながら応えた。

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