《MUMEI》 「分かりました、じゃあ公園で遊んで来ます」 くるみちゃんの部屋にあったボールとかをバッグに入れて部屋に戻ってくると、ソファーに観念したように座っていた克哉さんの上にトリスタンさんが座っていた。 「克哉ぁ〜マックスからアレ受け取ったぁ?」 「あぁ…クローゼットの中にあるぞ」 「クローゼットの中のものって…あの袋ですか?」 僕が二人の会話の途中でそう言うと、二人とも一緒にこっちを振り向いてきた。 「すみません、邪魔しちゃって///」 「いや…やっぱり勘違いしてるだろ」 「そうそう、懐かしい話してたのよ♪」 突然、何の脈略も無くトリスタンさんは克哉さんとの昔の話をしはじめた。 「こうやってね…私が克哉の膝の上に座って赤ん坊のくるみを抱っこしてね…」 膝の上に座っていたトリスタンさんは、克哉さんに寄りかかるとその間で手をクロスさせ、小さな子供を抱くような姿勢になっていた。 (やっぱり”元夫婦”なんだなぁ…) 「……」 「アキラ?」 「あ、はい///」 つい泣いてしまいそうになっていた。 だってトリスタンさんと克哉さんの姿が、あまりにも似合っていたから。 僕なんか、本当はいらないんじゃないかと思って…。 「あ、あれ…お父さんの字だったんですね」 どうにか話題をはぐらかそうとしてクローゼットの中にあった物の話をしていたら、突然克哉さんに腕を掴まれてしまった。 「そうだが…アキラ…」 恐る恐る振り返ると、やっぱり克哉さんが心配そうに僕の事を覗き込んでいるのが見えた。 僕はどうしてこう心配ばかりかけてしまうのだろう…。 「あの…大丈夫で…」 僕がそう言い終わらないウチに克哉さんに強引に腕を引っ張られると、思いっきりソファーに押し倒されてしまった。 前へ |次へ |
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