《MUMEI》

ゆっくりとバスケットボールのゴールが降りてゆく。
ぼくはゴールの裏側に括り付けられていて、一緒にゴールと降りてった。

そうしている間にも千秋様は袖に着火されようとしている、燃やされてしまいそうなのに、ぼくは何も出来ない。


「どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう……!」

どうすればいい、どうしたらいい……?
パニック状態だ。
身動きが取れないのに千秋様に危険が迫っている!

嗚呼、あんまり考えると頭がパンクする……!






ぼくの、髪が伸びた。
どのくらいというと、自分の髪の毛で視界が真っ暗になった程だ。

「ち……ちあきさまあ……」

千秋様が死んでしまう……。
無我夢中になっていたら自分の毛束で括り付けられていた紐も解けていた。

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