《MUMEI》

ピピー――――!!!


後半開始。


未だ0対0


ベンチへと視線を移すと、
コーチの渋い顔。


ヤバいな。


そろそろ点を入れておかないと。


コーチの本気で怒る姿を想像して、
思わず身震いした。


ボールは激しい攻防戦により、
位置は定まらない。


観客席はより一層熱を増し、
大声援が飛び交っている。


榊原や九条たちには疲れた様子が見れず、
中々チャンスも来ない。


マジでヤバいな。


既に後半は10分経過していた。


そんな時、先輩の足がよろけてしまった。


まさか…まだあの時の接触のダメージが……。


安藤は先輩を横目に、
素早いフットワークでボールを奪い、
こちら側に走ってくる。


ここは、俺がなんとかしないと!

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