《MUMEI》

「「誕生日おめでと
  う!アヤヒ!」」

声をそろえて、二人は言った。黒髪の男の子と、茶髪の男の子だ。

「もう、15歳なんだ
 よなー。あと1年で
 結婚できるんだ
 ぜ?お前が!!」
『何よ、紅羽(あか
 ば)!文句でもある
 わけ??』

紅羽、と呼ばれた少年が、クスッと笑う。年は、10代後半くらい。とても整った顔つきだ。

「兄上は、もう少し
 言葉をオブラート
 に包むべきだと思
 うのじゃ。のう?
 アヤヒ」
『さっすが!!
 同じ双子なのに、
 どうしてこう、
 蒼羽(あおは)は優
 しいのかなぁ』

蒼羽、と呼ばれた茶髪の少年が微笑む。
ピンでとめている少し長めの髪を、風になびかせる。少し変わった言葉使いだが、顔立ちはとても可愛く、女の子と間違えられることも有りそうだ。

「アヤヒは、とても
 可愛いと思うのぞ?
 もし、嫁の貰い手
 がおらぬのなら、
 ワシが嫁にもらっ
 てやっても良いの
 じゃぞ?」
「やめとけ、蒼。こ
 んなやつ嫁にした
 ところで、お前の
 頭痛が増すだけだ
 ぞ?♪」
『なっ!いいもん!
 蒼羽のお嫁さんに
 なったら、迷惑な
 んてかけないし!』

アヤヒ、と呼ばれた少女がベッ!と舌を出す。左横に一つ結びにした金髪が、淡い香りを放つ。

チン!

カップで乾杯をする。

「ん〜!やっぱ、ア ヤヒんとこの紅茶
 は最高だな!自家
 製の茶っ葉使って
 るんだろ?」
『うん。…姉さまが
 行方不明になる前
 に育ててたお茶っ
 葉だよ…』

急に、シンとなった。

アヤヒの姉…アリス

10年前、アヤヒが5歳のときに行方不明になった。

当時9歳だったにも関わらず、美しく、頭がよく、何よりとても優しかった。誰にでもわけ隔てなく振舞っていた。

そんな彼女は、ある日突然消えた。
理由は分からず、いまだ見つかっていない。

『アリス…姉さん』

でも、彼女…アヤヒだけは知っている。

姉のアリスがいなくなった理由を…――




 

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