《MUMEI》 . ガゥン ガゥンッッ 殴り飛ばされ、石畳にしたたかに身体を打ち付けたライナスは、二発の銃声を耳にして本能的に地面を転がる。回転する視界に映る二発の鉛玉。 「ぐわぁっっ!!」 その直後、左腕に激痛が襲い掛かった。 銃口から放たれ、地べたに這いつくばるライナスに向かって疾駆する二匹の鉛の猟犬は、一発は石畳を抉り、もう一発は彼の左腕の肘から下を喰い千切っていった。 「ここら辺りが限界か……」 剣を落し、肘から先を奪われて大量の血を流す左腕を押さえ、身体を丸めうずくまるライナスを、落胆した表情でブラッドはため息混じりに言葉を漏らす。 「覚醒したばかりでこの程度の身体能力。人だった頃はそこそこの使い手だったのだろうが……力の使い方を叩き込めばそれなりの強さにはなるか」 「それなり……では困るんだがな」 それまで扉にもたれ掛かり観戦していたレヴィルが、うんざりとした口調でブラッドに言葉を投げ掛ける。 「少なくとも貴様と同等か、それ以上強くなくては意味が無い」 「またずいぶんと高望みをする」 「何が高望みだ。貴様の力量ですらこれまでの従者に比べたら、まだまだ話にならんレベルなのだからな。せめてもう一体、使える戦力を補充しなくては、次に奴らの襲撃が始まった時、確実に全滅は免れないんだぞ」 「けど俺は、お前にナイト・ウォーカーにされてすぐ、奴を消滅させる事が出来たじゃないか?」 前へ |次へ |
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