《MUMEI》 俺としたことが! すぐさま体制を立て直し、 安藤を追いかけた。 安藤はもはや独走状態。 軽やかに敵を掻い潜り、 ロングシュートを放つ。 観客席からは落胆にも感嘆にも近い溜め息が漏れた。 頼む! 何とか止めてくれ! ボールは勢いを増して、 右ポストギリギリのコースを行く。 止めてくれ! 味方の誰もがそう願った。 ガン!! ボールは激しい金属音と共に跳ね返った。 助かった…。 安堵の溜め息がそこら中から脇出す。 ボールは右のポストに当たり、 跳ね返されたのだ。 キーパーは予想と反して全く別の方向に体を向けていた。 まさに運が良かっただけのことなのである。 前へ |次へ |
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