《MUMEI》
.
「………」
俺は棚に手を上げたまま、
隆之の方を見ることもなく
息をするのさえ、忘れてて
「でさ…。佑二?」
「………ああ」
俺の脳がようやく隆之の声を認識して
俺は深く呼吸してから
隆之を振り返った
心臓が何か強い感情にバクバクしてる。
でもそれがなんだかは分からなくて。
「…どうした?顔、真っ青…」
「隆之」
俺は落ち着こうと
胸いっぱいに息を吸おうとして
上手く呼吸できずに咳き込んだ
隆之は「大丈夫か」と俺の背中を叩いて、言った
「そのムービー…あるぜ」
「…な…ゲホッ…」
まだむせたまま俺が顔を上げると、隆之は伏せがちだった眼を俺に向けた
隆之の眼は淡蒼だ
「俺さ、知ってるんだ」
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