《MUMEI》

佐伯の軽く咳払う声に、ハッとして手を離す。


「それとですね、瀧…」


「お、おぉ、なんだよ。」


若干ギクシャクしながら聞き返す瀧に、


「真田さん、明日アメリカ支部での任務終了で帰って来るそうですよ。」


「マジで!?何時何時?」


「そこまでは…まぁ夕方にはなるかと…。」


「了解ー」


「ねぇ真田さん、て誰?」


「ダチだよ、似たような時期にはいったし年も一つしか違わねんだ。」


「へぇー、あたしも仲良くしてもらえるかな?」


「どうかな?みっちゃん気難しいからな〜。」


そんな会話をする二人をソッとして佐伯はその場から去る。


そうしてひとしきり雑談した後、二人は互いに部屋に帰った。

今はまだ夜の闇は優しく眠りにつく者達を包んでいた。

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