貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
チキンくん
ぺたぺた
「よし出来た!」
(我ながらいい出来だ…。)
「おい、お待ちかねの夕飯だ。」
林檎がトレイを持って台所から帰ってきた。何やら丼もののようだ。
「おお、ナイススメル!こっちも丁度完成したぞ〜。」
「ん?お前は何を……。」
トレイを置いた林檎は壁を見つめる。
「豚丼か!イエス!イエス!イエス!」
某CMのように感激を表現する。あのシャンプー1回使ってみてぇ。
「さあ、食おうぜ!獣のように!」
「……待て。」
「どうした?シャンプー買い忘れたか?ならハーバルエッ」
「違う!その壁に貼ってあるのはなんだ?」
壁を指差す林檎。そこにはファンキーな鶏の絵が描かれたレポート用紙が貼ってある。
「ああそれ?マイフェイバリットキャラクターのチキンくんポスターだ。こんな部屋じゃ寂しかろうと思って描いたんだ。ファンキーだろ?」
「チキンくんか…、なんでヘッドホンしてるんだ…?」
呆れた表情で林檎が訊く。
「自分の鳴き声でショック死しないようにだ。なんてったってチキンハートだからね!(アメリカ風笑い声)」
「………。なんか食べてるようだが…?」
「鶏の唐揚げ。大好物なんだ。」
「………」
ビリビリビリ
「ガッデム!なにするんだ!」
林檎は容赦なく破り捨てた。哀れチキンくん。
「人の部屋にわけの分からんものを貼るな!」
こうして制作時間10分の大作は紙屑と化した…。

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