《MUMEI》 「タマ、それを寄越せ。」 拾った鍵を千秋様に言われるがまま渡す。 千秋様はトランシーバーで連絡を取っている。 天井をヘリコプターが通過した、いや……どうやら停まったようだ。 窓から新井田さんが現れて、千秋様の掌に乗っている三本の鍵を確かめた。 「では、この勝負、千秋さんの勝ちですね。」 新井田さんは朗らかな表情で鍵を受け取った。 千秋様がこの勝負に勝ったということは、ぼくはまた、千秋様の傍にまた置いてもらえるのだ。 そう思うとまた、睫毛が伸びた。 前へ |次へ |
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