《MUMEI》

…俺は、どうしたい
んだろう?

ショウは、自問自答
を繰り返して、一つ
の結論に達する。


『…陛下も何か勘違
いをしておられます
。』


『何?勘違い?』


『はい、俺はこの国
を去ったりしません
よ。だってーー』


『だって?』


『俺にはまだ、吸水
率100%の陛下のガ
ウンが必要なんです
から…』

…そう、あの夜見せ
た陛下の優しさが俺
の心の琴線に触れた
から…もう少しだけ
傍に…


『ショウよ、お前…
そんなにあのガウン
が気に入ったのか?
そうか…』

陛下は考える振りを
した後…

『良い、餞別として
お前にやろう。持っ
て行くが良い!』

ニヤリと笑ってそう
言った。

『…陛下も鈍いんで
すね。』

ショウは、半分呆れ
顔で言った。


『フッ…冗談だ。許
せ、お前の言葉が嬉
し過ぎてな。
だが良いのか?今、
お前は私から離れる
唯一のチャンスを無
くしたのだぞ?』


『はい、覚悟してま
す。陛下?お手柔ら
かに…』

ショウと陛下は互い
に顔を見合わせて笑
った。

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