《MUMEI》

「それでどこまで話したかな…………あー、面倒だからもう一度最初から話そうか?」

 なぜ嬉しそうに初めから話そうとしたがるのだろうか。

「いえ、僕がドコの課に配属されるのかからでいいです」

「そうかい?じゃあそこからで」

 なぜそこでふて腐れるんだろう。

「えーー、それでだ。君は『清掃課』の第一班に配属が決まっている。いるんだが……君がただの霊力が大きいだけの素人という予定外の事実が判明した為んだよなぁ…………」

 どうしようもない事をしみじみと言葉にされる。

「でだ。君には悪いが、十分な戦力として前線に立てるまでの間、『見習い』を付けておこうかと思ってるんだ」
「清掃課…見習いですか……」

 果たして見習いという肩書きは、僕にとってメリットになるんだろうか?

「あぁ、見習いと言えど給料はちゃんと出るから安心していいよ。ただ、正規の職員とは違い、グッと低くなってしまうのは仕方の無い話だけどね。その辺りの事は契約書を作る際にでも話し合おうじゃないか。

 けれどもその前に、第一班のメンバーとの顔合わせを先に済ませておこう」

 そうこうしているうちに僕達は通路の突き当たりまで来ていた。その先は何となく未来を感じさせる金属製の扉が口を閉ざして一歩も進めない。

「少し待っていてくるかい?」

 それだけ言うと僕の返事も待たずに、扉に程近い通路の壁に備え付けられたセンサーにカードキーをかざした。


 カシャッ ウィィーーーン…………


 モーターの駆動音と共に壁の一ヶ所が左右にスライドして、競り出して来たパネルの上に右の手のひらを置く。次にレンズに顔を近づけて最後に、

「霊障清掃局局次長 櫻井 肇」

 と、名乗りを上げた。


 ピピッ ピッ
 ゴガガガガガ…………


 すると手を乗せていたパネルにグリーンが灯り、ガッチリ口を閉ざしていた扉は、モーターやギアの動くけたたましい機械音に合わせて、上と左右の三方に押し開かれていった。

 開いた扉の先へ一歩足を踏み入れた櫻井さんが僕へ向き直る。

「高橋君。霊障清掃局にようこそ」

 その言葉が、僕にもう後戻りは出来ないんだという事を改めて自覚させた。

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