《MUMEI》

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彼女のぼやきは聞こえなかったことにして、わたしは、ところで…と千影に向き直る。


「こんなとこで、何してんの?」


部活は?と付け足す。

千影はバレー部のキャプテンで、いつもならこの時間は、むさ苦しい体育館で、暑苦しい汗をかいているのだ。

尋ねたわたしに、千影は呆れたような顔をした。


「どの部も、3年はとっくに引退したよ」


そんなことも知らないの?と、バカにするように言われた。わたしはムッとして、知らな〜い!と敢えて感じ悪く答える。


「わたし、帰宅部だし。つーか、部活なんか興味ないし。千影と違って、運動バカじゃないし」


自慢のロングヘアーの毛先を弄びながら、厭味を羅列すると、千影は、いちいちムカつく子だね…と唸るように言った。


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