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《MUMEI》 . 義仲は前髪をかきあげながら、柔らかく微笑む。 「待っててくれるなんて、ちょー珍しー！」 槍でも降るんじゃね？と、笑った彼にわたしは、ふざけんな、と返す。 「つーか、アンタが一緒に帰ろうって言ってたんじゃない」 わたしがぶっきらぼうにそう言うと、彼はビックリしたような顔をして、そーだっけ？と首を傾げた。 そんな義仲を見上げて、わたしは、そうよ、と淡々と答える。 「なのに、帰りのショートが終わったら、アンタがいきなり拉致られるから」 わたしの小言に義仲は、わりぃ、わりぃ！と愉快そうに笑う。 「でも、さっさと片付けてきたから！」 帰ろうぜ！と、仏頂面のわたしにニッコリする。この上なく美しい表情で。 . 前へ |次へ |
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