《MUMEI》 . わたしと彼、そして青ざめている千影は、その声がした方へ視線を流す。 静かになった放課後の特別教室棟から、ヨロヨロと歩いて出てきたのは、 黒いセルフレームの眼鏡をかけた、ヒョロッとした弱そうな青年。 なぜか、全身を殴られたようにボロボロで、足取りももたついて覚束ない。おまけに頭からドクドクと大量の血が流れ出ている。 「…川崎先生?」 千影が、青年のむごい姿を見て、どうしたんですか?と、首を傾げながら言った。 . 前へ |次へ |
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