《MUMEI》

.

そんな、今にも死にそうな川崎先生を見て、義仲は聞こえよがしに舌打ちした。


「まだ生きてたのか…」


さらに、ゴキブリ並みの生命力だな、と忌々しく吐き捨てる。その呟きを耳ざとく拾い、わたしは義仲を見上げる。


「…先生になにしたのよ?」


わたしの密やかな質問に義仲は肩を竦めて、別に、と淡々と答えた。


「ゴチャゴチャうるせーから、美術室の石像で頭かち割ってやっただけ」


仁辺もなく言い放った義仲に、わたしと千影は絶句した。



この《川崎 宗一》先生は、『蓬莱学園』の美術担当の非常勤講師。

ナヨッとした外見と、メガネ男子ということから、みんな彼のことをバカにしているけれど、


実は、川崎先生もやくざのひとり。


しかも、『櫻鷲会』のお偉いさん。


.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫