《MUMEI》 . そんな、今にも死にそうな川崎先生を見て、義仲は聞こえよがしに舌打ちした。 「まだ生きてたのか…」 さらに、ゴキブリ並みの生命力だな、と忌々しく吐き捨てる。その呟きを耳ざとく拾い、わたしは義仲を見上げる。 「…先生になにしたのよ?」 わたしの密やかな質問に義仲は肩を竦めて、別に、と淡々と答えた。 「ゴチャゴチャうるせーから、美術室の石像で頭かち割ってやっただけ」 仁辺もなく言い放った義仲に、わたしと千影は絶句した。 この《川崎 宗一》先生は、『蓬莱学園』の美術担当の非常勤講師。 ナヨッとした外見と、メガネ男子ということから、みんな彼のことをバカにしているけれど、 実は、川崎先生もやくざのひとり。 しかも、『櫻鷲会』のお偉いさん。 . 前へ |次へ |
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